ホテルで働く人間として最も気を付けなければならないことの一つにアレルギーゲストへの対応というのがあります。
アレルゲンは人によっていろいろあり、間違えて食べてしまったら命に関わる危険もあり、食事をするうえで最も意識しなければならないことです。
かゆみや吐き気などの症状が出る場合や、アナフィラキシーショックで救急車で運ばれるなんてことも多々起こっています。
今回は、その7大アレルゲンと呼ばれる成分と、ホテル側がどのようにアレルギーゲストに対応しているかを紹介したいと思います。
ホテルでのアレルギー対応について!7大アレルゲンとは?
7大アレルゲンとは「卵・牛乳・小麦・そば・エビ・カニ・落花生」のことです。
日本で最も多いと言われているのが卵と小麦ですね。ヨーロッパでは落花生・ナッツが最も多いとされています。
ホテルでのアレルギーの対応は、基本的には事前の予約にてアレルゲンを伺って、その内容をレストランのシェフに伝えておくというのが一般的ですが、たまに予約せずに来たお客様で当日にいきなりアレルギーを申告する方もいます。
ですが、これはホテル側からすると非常に危険な行為と言わざるをえません。
なぜなら、ホテルの厨房は同じ調理器具で同じフライパンで料理をするので、完全に100%アレルゲンを除去するというのは不可能に近いからです。
予約もなしにいきなり来店して「○○と○○がアレルギーがあるので外して料理をお願いします」と伝えると、シェフは包丁から鍋から全ての調理器具を準備してから料理を作りはじめることになります。
時間はかかりますし、もし忙しい時間帯だと慌ててしまい、ついうっかりなんてことも考えられます。
もしアレルゲンをお持ちのかたは必ず事前に予約をしてから来店することを強くおススメします。
もし事前に予約をせずに来店し、その場でアレルギーがあることを伝える場合は、料理の提供に相当の時間がかかることは頭に入れておきましょう。
ホテルでのアレルギー対応について!増え続ける食物アレルギー
アレルギーを持つ人は年々増え続けていると言われています。
小さい頃(1歳~3歳)のアレルゲンの第1位は卵です。
ちなみに私の息子も卵アレルギーだったのですが、根気よく病院に通い続けて3歳になったころ再検査をしてみたらちゃっかり治っていました。
なので、もし小さなお子様でアレルギーをお持ちの方がいても諦めることはありません。
特に、卵・牛乳は比較的に治りやすい成分ですので小学校に入る前にもう一度検査をしてみてはいかがでしょうか?
もしかしたらすでに食べられるようになっていた、なんてこともあるかもしれませんよ。
そして大人になるにつれて増えていくのが「甲殻類アレルギー」です。
こちらは日本人は非常に多く、なんと30人に1人は甲殻類アレルギーと言われております(2019年9月現在)
ただ、卵や牛乳と違い甲殻類はエビ・カニなのでわかりやすいため、ブッフェなどではメニューの成分表を見て自分で取り分けるようにすれば問題はないでしょう。
ただ、まれにカニやエビのエキスでも反応してしまうほどの重度の方がいらっしゃいます。
そのような方は、必ずレストランのスタッフに声をかけて、シェフ立ち合いのもとで料理を取るようにしましょう。
ホテルでのアレルギー対応について!
食事をするうえで最も大事なアレルギー対応。
その対応の仕方はホテルによって違います。
1つめのパターンが「アレルゲン事前お伺い書」というものです。
電話やネットなどで事前に部屋を予約した際に、宿泊者の中にアレルギーがいることを伝えておくと、ホテル側からお伺い書がメールで送られてきます。
内容は、該当者の名前や年齢、アレルゲンの成分は何か、もし食べてしまった時の症状はどのようなものかを伺っておくものです。
このお伺い書を提出したうえで宿泊時に利用するであろうレストランの予約を入れておくことが一番無駄のないベターな方法かと思われます。
そうすることでホテル側も事前に情報を知ることができるので、ゆっくりと除去メニューを作成することができます。
ホテルによってはこの「アレルギーお伺い書」を記入しないと料理を提供してくれないところもあるほどです。
これもお互いが万全を期すための安全策の一つですので、少々面倒くさいかもしれませんがキッチリと行っておきましょう。
2つめのパターンが「食物アレルギー対応メニュー」というものです。
これはどういうことかというと、7大アレルゲンを全て除去した「アレルギーをお持ちの方のための専門メニュー」ということです。
従来の方法は、例えばカニと小麦がアレルゲンならカニと小麦を除去したメニューを作成して召し上がっていただきますが、この「対応メニュー」は7大アレルゲン全てを除いて作られているので、どのようなアレルギーをお持ちの方でも安心して食べられるメニューということです。
この利点は家族全員同じメニューで食べられるということです。
例えば、家族の中に1人だけアレルギーをお持ちの子供がいた場合、その子供だけ別メニューになると可哀そうですよね。
この「対応メニュー」なら家族全員で食べることができるので、お子さん同士のケンカもなくなることでしょう。
このような対応をしているホテルはなかなか少ないですが、間違ってアレルゲンが混入してしまうことが極端に低いので、「除去メニュー」よりは「対応メニュー」の方が安全性が高いと言えるかもしれませんね。
ホテルでのアレルギー対応について!知る人ぞ知るアレルギーの治し方?
ではここで日本人に多くみられるアレルギーの治し方をご紹介したいと思います。
それは、長期の海外滞在です。
それも東南アジア諸国がオススメですね。
なぜか海外に1年ほど留学していた帰国子女とかハワイ在住の日本人の方にはアレルギーをお持ちの方が少ないんです。
理由は明らかになってはいませんが、私の友人もカンボジアとネパールに2年ほど住んでいたのですが、日本に帰ってきたらアレルギーが無くなっていたんです。
その友人は小麦アレルギーだったのですが、帰国してからは平然とお蕎麦やケーキを食べていました。
本人いわく、「海外では空気も違うし食材も違う、おまけに海とかで遊んでた時に寄生虫でも体の中に入ったのかもしれないね」なんて笑いながら言っていました。
実は、アジア圏の人達にアレルギーの方が少ないのは寄生虫が原因と言われているそうです。
何年か前に日本でも行われた実験で、日本人の体内にアジア圏に生息している寄生虫を寄生させたところアレルギーが治ったという実例があるそうです。
理由は、体内に入ってきたアレルゲンを寄生虫が食べてしまうからだそうです。
ただもちろん人間に害を及ぼす寄生虫もいますので、自ら寄生虫を体内に入れてアレルギーを治そうとするのはやめてくださいね(笑)
人間があまりにも清潔になりすぎてしまったために免疫力が低下して増えたと言われるアレルギー。
これからもアレルギーは人間にとって最も重要な課題の一つであり続けることは間違いないでしょう。